羽音に呼ばれし者

■導入―――――――――――――――――――――――――――――
あなたたちは偶然にも同じ時間、歩きなれた別々の夜道を歩いていた。
見慣れた道だ。街頭だってある。
だからこそ、多少の警戒はありつつも目前に迫った目的地――或いは自宅、或いはコンビニ、或いは駅――目指す場所へと足を動かしていく。
ふと、あなたの前を黒いものが横切る。あなたは突然のことに足を止めるだろう。

がさり。
暗がりから音がして、あなたは咄嗟に音のする方を見てしまう。
暗闇の中、爛々と光る双眸は、あなたのふくらはぎの高さにあった。
それは何の変哲もない、ただの猫。真っ黒で、どこにでもいる、野良猫。
なんだ。そう思い、少しだけ早くなった鼓動を落ち着かせるように、あなたは再び目的地へ向かう足を動かそうとした。

動かそうとしたのだ。

動かない。ああ、足が、手が、前へと向かおうとする意思だけが歩き出す。
身体を思考が置いていく。
痛みどころか幾らの感覚もない。
離れてしまった思考は、徐々に水に溶けるように沈んでいくだろう。
そうしてとうとう視界が黒に塗りつぶされた時、
あなたの耳に聞こえた「にゃあ」という鳴きごえを最後に、あなたの意識は完全に途切れてしまった。

***

次にあなたが目を覚ました時、
あなたはどこか懐かしさの覚える天井に気付く。
指先を微かに動かし、肉体が再び自分の意識下にあることを知ると、あなたはゆっくりと身を起こします。

さあ、探索を、どうぞ。




■地図―――――――――――――――――――――――――――――
■1F------------------------------------------------------------
・保健室(スタート地点)
・教室
・事務室
・美術室
・家庭科室
・体育館
■2F------------------------------------------------------------
・教室
・職員室
・PC室
・図書室
■3F------------------------------------------------------------
・教室
・音楽室
・理科室
・視聴覚室
・多目的室
■屋上----------------------------------------------------------
・屋上
――――――――――――――――――――――――――――――――

▼保健室
電気もなく、ただ部屋の中央でアルコールランプが燃えているだけです。
窓にはガラスの代わりにコンクリートがはめられており、外の様子はおろか外からの明かりも入らないことに気付きます。
また、探索者たちは自分たちの服装が見知った制服に変わっていることに気付くでしょう。
≪知識≫≪目星≫成功で、ここが探索者の母校であることが分かります。

【薬品棚】
≪目星≫に成功で、救急セットを発見します。使用することで応急手当に15%ボーナスがつきますが、中身を見るに3回程で使い切ってしまうでしょう。
【教員机】
≪目星≫に成功で、懐中電灯を「1D人数分」発見できます。ここで入手できなかった場合は、目星等目をつかった技能に-10%となります。

▼廊下
水道があり、窓にはコンクリートがはまっている。
水道をひねった場合、水は出ない。
(1)
ひやりと冷たい廊下は暗く、どこまでも続いているような気がする。
≪聞き耳≫に成功で、ブゥンという羽音が聞こえるが、場所は分からない。
(以後)
≪聞き耳≫に成功で、ひたひたと歩く音がする。

▼トイレ
一階の教室練のトイレにグラーキーの巣への道があり、中に入ってしまうとグラーキーと遭遇する。
尚、グラーキーを退散させた場合、以後ゾンビとの遭遇がなくなる。
男女どのトイレにするかは、探索者の性別で一番多い性別のトイレにするのが良いでしょう。
他のトイレでは、水が流れないだけで特に何もありません。

■1F------------------------------------------------------------
▼教室
教室は何の変哲もない。窓際に植木鉢があり、黄色い花が咲いている。
【黄色い花】
≪薬学≫か≪生物学≫に成功で、これが「アルニカ」と呼ばれる薬草であることが分かる。
最初の教室に入り、1行動した直後に【遭遇表】を振ります。
何も起こらず、次の教室に入った場合も同様です。ゾンビが出るか、探索者が別の場所に行くまで繰り返します。

▼事務室
≪幸運≫に成功で、保健室で見つからなかった場合【懐中電灯】を1つ発見する。
【防火シャッター管理盤】
≪電気修理≫+30%に成功で、図書館への廊下と屋上へのシャッターを開くことができる。

▼美術室
ごく普通の作業机が並ぶ美術室。
【机】
≪目星≫に成功で、筆を見つけることができる。
1行動した直後に【遭遇表】を振りましょう。
▼家庭科室
ごく普通の調理台の並ぶ家庭科室。冷蔵庫や食器棚がある。
【冷蔵庫】
いつのものか分からない水が入っている。

▼体育館
「卒業おめでとう」という看板が下がり、紅白の幕が壁に貼られている。
【卒業式】を行うことができる。
扉は【卒業式のプログラム】を入手するまで開きません。
体育館の扉を開くと、「卒業生入場!」というアナウンスが響く。

■2F------------------------------------------------------------
▼教室
教室は何の変哲もない。窓際に植木鉢があり、黄色い花が咲いている。
【黄色い花】
≪薬学≫か≪生物学≫に成功で、これが「アルニカ」と呼ばれる薬草であることが分かる。

▼PC室
パソコンはつかない。
≪目星≫に成功で、壁に避難経路が貼られていることに気付く。
【避難経路】
あなたたちの見知った校内図が描かれている。
「緊急時には、事務室から校内のシャッターを制御することができます」と書かれている。

▼職員室
卒業生名簿と書かれた冊子を発見する。
そこには、探索者の名前が書かれている。
≪幸運≫に成功で、保健室で見つからなかった場合【懐中電灯】を1つ発見する。
【鍵管理棚】
≪目星≫に成功で3-3の鍵を発見する。

▼図書室
ここに行くまでの道には防火シャッターが下りている。
シャッターの降下機能はめちゃくちゃに壊れている。
ジャンル毎に本棚が分かれており、それぞれに≪図書館≫を振ることができる。
本棚のジャンルは5種類。その他に、貸出カウンターを見ることができる。
【美術】
『身近なもので絵を描こう!』という図工の本を見つける。水彩絵の具は、水とのりで作成することができるということが分かる。
【神話】
アザトースがもたらす破壊について書かれている。宇宙を創りだした偉大かつ邪悪な神であるアザトースは、ひとたび招来されれば彼が飽きるまで破壊の限りを尽くす。この世の全ての存在の根源であるアザトース見たものは、そのまま存在から消え失せてしまうということが書かれている。
【童話】
『蟲憑き姫』という童話を見つける。シャンの退散の呪文の存在の手がかりを見つけます。
【宗教】
『世界の信仰』という本を見つける。世界には様々な信者が居ることが書かれている本を見つける。その中で、地球上の誰にも信仰されていない神として『アザトース』の名前が載っている。
【図鑑】
題名の無い図鑑が見つかる。シャッガイからの昆虫(シャン)という昆虫は人間の頭に入り込み、思考をのっとってしまうということが分かる。
【カウンター】
文房具が置いてある。≪目星≫に成功で、のりを発見する。自発的にのりないですか?と聞かれた場合はそのまま渡してしまいましょう。

■3F------------------------------------------------------------
▼3-3
鍵がかかっている。≪鍵開け≫に成功でも鍵が開く。
教室は何の変哲もない。≪知識≫に成功で、自分の席だった場所から【卒業式のプログラム】を発見する。
【卒業式のプログラム】
時間テーブルは書いていない。
「卒業式は体育館で執り行われます。卒業生は入場のアナウンスと共に、入場し、式典の最後では【卒業の歌】を歌い、退場します。
その後、通常通り下校となります
卒業生はこのプログラムを持って式に出ること」

▼他のクラス
教室は何の変哲もない。窓際に植木鉢があり、黄色い花が咲いている。
【黄色い花】
≪薬学≫か≪生物学≫に成功で、これが「アルニカ」と呼ばれる薬草であることが分かる。
▼音楽室
勉強机が沢山と、グランドピアノが一つ。それから、楽譜が詰まった【楽譜棚】がある。
【楽譜棚】
≪目星≫もしくは≪図書館≫で「卒業の歌」の楽譜を発見します。

▼理科室
人体模型や骨格標本、【備品棚】がある。
【備品棚】
≪目星≫に成功で、すり鉢を見つけることができる。
【遭遇表】を振りましょう。

▼視聴覚室
中に入ると、床の一部が黒ずんでいることが分かる。また、スクリーンが下りている。
≪医学≫に成功で、黒ずみが血液であることが分かる。
部屋の中央にはプロジェクターがあり、
探索者が望むのならば映像を再生することが可能である。
【プロジェクター】
再生ボタンを押すと、スクリーンに映像が投影される。

再生開始と共に部屋には男の悲鳴と、数名の人間の罵倒する声が響く。
「裏切り者」「帰して」「死ね」「何の為に」「死ね」「死ね」「死んでしまえ」
その声と共に、鈍い音。そして、何より、スクリーンに映し出された光景に探索者たちは身をこわばらせる。
スクリーンの中では床に倒れ頭を守ろうとする男を、数名の若者が怒声をあげて殴りつけ、蹴りつけている。その中で、一人の女が他の人間を押しのけ、椅子を振り上げた。
彼女は意味の分からない言葉を口走りながら、何度も椅子を振り下ろす。
皮膚が裂け、肉を削ぎ、痛みに悲鳴を上げる男の血が辺りを濡らしていく。
いつの間にか、男は動かなくなっていた。それでも尚椅子を振り回す女の身体に、突然触手が巻きつく。周囲で見ていた人間たちは、それに気付くも逃げる間もなく同じように触手に捕えられていく。
触手は教室の戸口から伸びているようで、彼らは悲鳴をあげながら廊下へと引きずり出されていった。後には、動かなくなった男の身体が床に大きな赤い水たまりを作るだけである。

壮絶な光景を目の当たりにしてしまった探索者は正気度ロール。
→3/1D8
再生後、死体のみが残る映像に≪目星≫≪写真術≫で、映像はこの視聴覚室であることが分かる。また、死体の手元に一冊の手帳が握られていることが分かる。
すると、スクリーンからその手帳がぽとりと落ち、探索者の目の前に現れる。
→【グラーキ信者の手記】を手に入れる。

▼多目的室
天井は高くガラス張りになっており、そこからは常に太陽の光が降り注いでいる。そのため、この部屋においては懐中電灯がなくても通常通りの数値で≪目星≫を行うことができる。
また、探索者は五芒星が床に描かれていることに気付くだろう。
≪オカルト≫≪薬学≫により、それが薬草(アルニカ)で描かれていることが分かる。
≪天文学≫に成功で、天井の太陽が異常に大きいことに気付く。ここが地球ではないことが分かる。
ここでの【シャン退散の呪文】の成功により、以後は対抗ロールが止まる他、
自身に心理学を振っても何も起こらなくなる。
(他の場所で術を使用した場合、シャンとの戦闘になります)
→シャンを見たSANチェック

▼屋上
屋上に向かう階段には防火シャッターが下りている。
ここだけは窓にガラスがはまっているものの、外はいくら待てど夜のままであり明かりは入ってこない。
外に出ることで、シャッガイからの昆虫はアザトースを召喚しようとし始める。
それぞれの探索者のPOWと等しい数値にて対抗ロールを行い、
失敗した者はアザトースを召喚しようと試みるでしょう。
対抗ロールに成功した探索者が居る場合は、戦闘を行い、召喚を試みている探索者を意識不明にすることで召喚を食い止めることができます。
3ターンの後、召喚の呪文は完成されてしまいます。

この時、召喚を試みている探索者に≪心理学≫を行い成功した場合、邪神を讃えながらも絶望的な状況に恍惚としている様が分かるでしょう。今までの様子からの変わり様と、その異様な光景に困惑した探索者は正気度ロールを行います。
→1/1D5

全員が対抗ロールに成功して屋上から下を覗いた場合は、どこまでも続く闇を見るでしょう。星の光だけが照らすこの空間が、本来探索者たちの知る学校とは明らかに違うことに気付くことができます。
▼グラーキの巣
1階教室練トイレから行くことができる。
トイレの一番奥の個室の辺りから地の底へと続くような下り坂の横穴が開いており、その下からは肉の腐ったような臭いがする。
≪聞き耳≫に成功で、何かが水面をばしゃばしゃと叩く音がする。

奥へと進むと、グラーキに遭遇する。
巨大な蛞蝓の背から無数の針が生えたようなその生き物は、前面から触手をくねらせ、水面をばしゃばしゃと揺らしている。
それは細長い飛び出た目であなたたちを捉えたのだろう。こちらをじっと見るその異形の生き物を見たあなたたたちは正気度ロールです。

グラーキは探索者を見ると、自らの従者にしようと触手を伸ばしてくる。
以後は戦闘。
グラーキはまず探索者を一人、水の中にひきずりこもうとします。
ひきずりこまれた探索者は≪水泳≫ロールを行い、失敗するとPOW対抗ロールです。
失敗するごとに、耐久力を3減らします。
また、助けにいく場合も≪水泳≫ロールです。
引き摺りこんだ後、グラーキは触手を探索者に突き刺そうとしてきます。
それまでに触手にたどり着き、触手自体にダメージを与えなくてはいけません。

グラーキのステータスについては、公式ルールブックを参照してください。

■卒業式――――――――――――――――――――――――――――
≪芸術:音楽≫もしくは≪EDUx3≫で「卒業式の歌」を歌う。
楽譜「卒業式の歌」を所持している時、探索者すべてに≪芸術:音楽≫に+10%を得る。
卒業式に成功で、突然巨大な爆発音が校舎の先で響く。
同時に、「卒業生の退場です、拍手で送りだしてください」というアナウンスと共に巨大な【手】が探索者の背後に現れます。
【手】は、ばちんばちんと拍手をしながら探索者を追ってきます。

ここからは【手:DEX8】とのDEX対抗です。
逃げる先を探索者に聞きましょう。
昇降口以外を指定した場合は、向かった先で≪回避≫ロールを行い、再度DEX対抗です。
≪ナビゲート≫に成功で、探索者が目指す場所が昇降口であることが分かります。
一度間違えた場合は≪知識≫≪アイデア≫あたりで、卒業式のプログラムを読み上げてあげると良いでしょう。

1階の昇降口にたどり着くと、そこではコンクリートが砕けており、光が漏れ出ている。
光に飛び込むと、あまりの眩しさに探索者たちは強く目を瞑るでしょう。
そしてゆっくりと瞳を開くと、そこは見慣れた通り。
「にゃあ」という声に思わず足元を見ると、そこには黒猫が。
猫は探索者が自分に気付いたことを知ると、とととっとどこかへと歩き去ってしまいます。

DEX対抗に失敗した探索者は、【手】に捕まってしまいますが無事に生還することができます。
文字通り、拍手で送り出されてしまうのです。

■終幕―――――――――――――――――――――――――――――
・シャッガイの昆虫を取り除き、体育館で【卒業式】の後、昇降口一階から外に出る。
→おめでとうございます、生還です。
報酬として【クトゥルフ神話技能:2%】【1D10のSAN値回復】を探索者に付与。

・シャッガイの昆虫を取り除き、体育館で【卒業式】の後、手に捕まる。
→おめでとうございます、生還です。
報酬として【クトゥルフ神話技能:2%】【1D6のSAN値回復】を探索者に付与。

・シャッガイの昆虫をそのままに、体育館で【卒業式】の後、帰還する。
探索者は無事に元の生活に戻るでしょう。その元の生活がいつまで続くかは分かりませんが。もしかしたら明日、探索者の両手は真っ赤に染まってしまうかもしれません。
もしかしたら、突然ビルの屋上から飛び降りてしまうかもしれません。
ですが、今日この時、恐ろしいあの場所から帰還したことには変わりないのです。
探索者は頭に響く虫の羽音に聞こえなかったフリをして、夜道を歩いていきます。
→キャラロストです。

・死亡/発狂
新しい探索者を作っても良いです。
が、ロストした探索者はグラーキの従者となります。KPは好きに使ってやってください。
→キャラロストです。

・人類滅亡
アザトースが召喚された瞬間、あなたたちは自身の存在そのものが塵となったことに気付くでしょう。意識は肉体の後から、うやむやに消えていく。
そこに痛みはなく、また悲しみもない。根源から、あなたという存在は飲まれて消えてしまったのだから。
やがて世界は、この星は、アザトースにより静かに、だが同時に壮絶に、その存在を消していく。残された宇宙の底には、ただの空間だけが残るだけである。
→キャラロストです。

■真相―――――――――――――――――――――――――――――
概ね黒幕は、シャッガイからの昆虫である。
かれらは主神アザトースを召喚し、この星を混沌に陥れるべくあなたたちを捕まえた。
だがシャッガイからの昆虫はその過程を重要視する。
また、召喚に失敗しようともその過程で探索者たちが恐怖に煽られる様を見ることが重要であると考えている。彼らにとっては、人類の恐怖は甘美な嗜好品だからである。
この空間自体は、自らを呼び出そうとするシャッガイからの昆虫のためニャルラトホテプにアザトースが作らせたもの。
ベースは探索者たちの記憶によるものであり、卒業式や【手】はニャルラトホテプの「遊び心」である。
この地に閉じ込められているグラーキは、以前の探索者たちが呼び寄せたものである。以前の探索者たちにはグラーキの狂信者であり、グラーキは彼にシャンの退散の呪文を授けるも異形の物を信奉することを恐れた別の探索者たちに殺されてしまう。視聴覚室の血の跡、及び映像は彼のものである。
自らの信者を殺されたグラーキは、その際の探索者たちを軒並み従者とした。
尚、ニャルラトホテプ自体は空間の精製のみで既にこの件からは手を引いている。
(或いは、このシャッガイからの昆虫による一連の誘拐事件を外側から眺めているのかもしれない)

■遭遇表――――――――――――――――――――――――――――
1:探索者の1行動後、ゾンビが1体やってきます。
2:何も起こらない
3:何も起こらない
4:探索者の1行動後、ゾンビが1体やってきます。
5:何も起こらない
6:何も起こらない

■ゾンビ――――――――――――――――――――――――――――
皮膚は溶け落ち、引き摺るように歩くそれは、二足歩行する生き物という点ではあなたたちと同じだろう。あまりに有名な特徴は、あなたたちにはっきりと、それが何であるかを知らしめてくるでしょう。
それを――生ける屍であるゾンビを見たあなたたちは、正気度ロールです。

グラーキーの従者です。
探索者を発見した場合、拳50%で襲いかかってきます。
また、初めて見た際には正気度ロールが発生します。
探索者が≪隠れる≫に成功した場合、≪目星≫15%のロールで探索者を見つけようとします。

■蟲憑き姫―――――――――――――――――――――――――――
「むかしむかしあるところに
それは美しいお姫様がおりました。
お姫様はたいへん優しく、たくさんの人々から愛されていました。
ところがある日、お姫様はとつぜん人が変わってしましました。
お城の物をてあたり次第に壊し、めしつかいを叩き、村人に酷い命令ばかりを
するようになってしまいました。
見かねた王様が湖に住む妖精に助けを求めると、
妖精まお姫様に魔法をかけました。
すると、お姫様の頭の中から大きな虫が飛び出し、消えていきました。
それからというものお姫様は元通りの心優しいお姫様に戻り、
国の皆と幸せに暮らしましたとさ。」

■グラーキ信者の手記――――――――――――――――――――――
・1P
何かがおかしい。ここは、この学校は僕の知っている学校ではない。
嗚呼、グラーキ様。グラーキ様! どうか僕が失われる前に、お助けを!
己の内から声がするのです!! 嗚呼、グラーキ様!!

・2P
嗚呼、グラーキ様! 貴方様のおかげで僕等は救われる!
己の内を忌々しい昆虫に奪われる前に、昆虫を追い出す術を用いなければいけない。
皆にも協力してもらわないといけない。

・3P
何故だ。何故だ、何故だ! 何故みんな信じてくれない!
何故グラーキ様を理解しない! 準備はできた、あとは皆に協力してもらうだけなのに!

・最後のページ
シャン退散の呪文が書かれているページ。
「【シャン退散の呪文】薬草のアルニカで描かれた直径1.5メートルの五芒星の内部の生きている宿主からシャンを駆除する呪文。
術者は一時間をかけて儀式を行い、10マジックポイントを消費する。
さらに、術者及び犠牲者は共に対象1人に対し1ポイントのPOWを永久的に消費する。
術者は2ポイントのPOWを消費して、この呪文を自分自身にかける事も可能である。
儀式の後、五芒星はシャンが再び侵入するのを十二時間の間妨げる防護壁となる。
この呪文はシャンを破壊する事は出来ないが、
直射日光のもとで行われた場合には、そのような効果を持つ。」


■メモ―――――――――――――――――――――――――――――
・持ち物
ポケットに入る程度の物は持っていて良いです。絆創膏とか、筆記用具とか。
携帯電話・スマホ類は電池が切れています。シャッガイからの昆虫のせいです。
探索者の持ち物を見て、全てシャッガイからの昆虫のせいにしてキーパリングのしやすい持ち物にしてしまいましょう。

・対抗ロール
3箇所探索ごとに、【POW7】との対抗ロールが入ります。
失敗した探索者は、身近な探索者或いは自身に対し≪拳≫技能を振ります。
成功すれば対象にダメージロールが発生します。
意識を少しずつ乗っ取られていることと、タイムリミットが無い分探索者を焦らせるロールです。

・探索者同士、また自身に対して≪心理学≫を行うことが可能です。このロールはヒントであり、トラップにもなるでしょう。
成功すると「【屋上】に行きたそうにしている」ことが分かります。
正常な探索者ならばこの不自然な結果・ロールに身構えると思うので、【屋上】に真っ先に向かいそうな場合などはKPから≪心理学≫を強制で振らせてしまっても良いかもしれません。

・3-3は、あなたたちが実際に同級生だったのならば実際のクラスに改変しても良いでしょう。ただし、必ず3年生の教室でなくてはなりません。

・花は一つの鉢で一本の線を引くことができる量しかありません。自力で陣を作成する場合、5つ集めてもらいましょう。
――――――――――――――――――――――――――――――――