叩く雨の音に責められて、は部屋の隅で耳を塞いで座り込んだ。いつ鳴るか解らない雷に怯えては、携帯を握り締める。
連絡をしたかったけれど、こんな事でと呆れられるのが嫌だった。


「ふ、」


弱音を片手で押し込めて、毛布を頭から被る。
ふわふわのそれは、どこかあの人に似ていて少し安心した。
けれど、どこかで雷が落ちるとすぐには声をあげて驚いてしまう。


「か、楓さん……」


会いたい、から。
は、大好きな名前を呟いて目を閉じた。

「……殿?」
「え?」


柔らかいハスキーボイスが、珍しく戸惑っていた。が毛布の団子になっていたからだろう。


殿、顔を……」
「楓さん〜!!」
「とと、」


が飛び付くと、楓はそれを身体を倒して受け止めた。楓の豊満な胸にぐずぐずと赤子の様に顔を擦り寄せるに、楓はその頭を撫でた。


「どうどう、もう大丈夫でござるよ」
「うっ、ううっ、楓しゃん〜!!」
「ああ、もう」


こんなにも、愛しく思う。

の身体をぎゅうっと抱きしめて、楓は寝返りをうった。
驚く間もなく唇を塞ぐと、の顔は真っ赤に染まった。


「安心したでござるか?」
「う、うん……」
「それはよかった」


にっこりと微笑んだ楓に、はふにゃりと笑い返す。
身体を起こして、他愛もない会話をし始めると、雷の音は気にならなくなった。




fin.
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