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手を繋いでいるから分かる、彼の手の大きさ。硬さ。テニスをしている人の手だ、なんて当たり前のことを思う。 手を繋いでいるというのに、物足りないとでも言いたいのか身体をぴったりとくっつけてくるのは別に嫌ではなかった。少しだけ、気恥ずかしくて鼓動は速くなるけれど。 「蔵ノ介、歩きづらいよ」 「ほな休むか」 「いや、少し離れて歩けばいいじゃん」 「は俺と離れたいん?」 「そういうわけじゃないけど」 ええやん。 そう言って蔵ノ介は立ち止まった。 「新幹線、間に合わなくなっちゃうよ」 「ん」 「もう、」 ねえ、気付いてる? 今の君、すっごく子供っぽい。 「次は春休みです」 「早う大人になって、と暮らしたい」 「じゃあちゃんと大阪帰って」 「せやかて大阪にはおらへんやん」 「居るよ、どこだって」 そう言えば、蔵ノ介はきょとんと幼い表情を見せた。 勿論、私が大阪に行くわけではない。 「蔵ノ介が私を忘れなければ、居るでしょう」 「また、そーゆー……くさいわ」 「普段の自分の言動を思い返したら?」 「うう、あかん敵わんわぁ」 そう言って、蔵ノ介は私の肩に手を掛けた。 「あ、」 唇が、触れて。 外なのに。人目があるのに、この馬鹿は。 「すきや……ほんま、離れとぉないくらい」 「……ばか」 敵わないなんて、 「私の台詞だよ……」 fin. |